十五夜に織りなす、静寂のさざなみ〜。

みなさま、こんにちは。

笛のまにまにが、
ひと月近くも間があいてしまいまして、

私のつたないお話しを、それでも楽しみにお待ちいただいてる方には、本当に申し訳ございません。


3月11日の大震災から、半年の時を重ね、まだまだ大勢の方々が、気持ちの定まる事なく、お過ごしのことをおもい、気持ちが上手く表現できません。


それと、台風の被害に、日本列島が大きく揺れて、様々な事が現れ、この動きに戸惑いを感じております。

今年は、地震をはじめ、あわせて水の恐さをも感じさせられます。

島国の日本は、四季を通じて美しい水のせせらぎを感じ、こんこんと湧き出でる泉もあれば、
津波に、土砂災害に、山崩れといった表情も見せる水の世界、
自由自在に姿を変化させる水、
重たい物でも一瞬に流してしまう水の力は、人智を超えた世界で、ただただびっくりする事ばかりです。

昨日今日とは、昨年に引き続き、伊豆修善寺にある、あさば旅館で

十五夜に織りなす、静寂のさざなみ』と題して、

笛と、箏と一絃琴の調べを行なっています。

今回は、最近ご一緒させて頂くことも多く、
愛知県豊橋から、箏と一絃琴の奏者・林 美也子さんにお願いして、
『月桂殿』の能舞台で、共に奏でさせて頂いております。


昨日朝早くに伊豆に着き、修善寺に伺う前に、
中学高校と伊豆で過ごしていた、大仁(伊豆の国)にある、大仁神社にお参りをさせて頂き、高台にある大仁ホテルの駐車場から、この富士山を眺め、清々しい秋の空を感じておりました。

途中、6月の韓国行きでお目にかかった、伊豆市湯ヶ島で、わさびを栽培されている『マルウわさび郷』の鈴木丑三さんのお宅にもお伺いして、
ご主人様は、信州栄村にいらっしゃってお留守でしたが、奥様とお話しをさせて頂くことができました。

ご自宅の前には、今は公園になっている、小説家の井上 靖さんのお屋敷跡をご案内頂きました。

生のわさびをお土産にと頂戴して、至福のひと時を過ごさせて頂きました。

今日も朝から、晴れ晴れとしたお天気に恵まれて、
修禅寺を詣で、二日目の笛を吹かせて頂いて参ります。


昨日は、
開演と同時に、池に浮かぶ能舞台の前に、小舟を浮かべ、お客様の前まで、揺られながら笛を吹き、石舞台でも、ひと吹きしての演出で、舞台の上へと進みました。


源平の歴史にも書かれている、那須与一の様な、小舟に揺られて、弓のかわりに私は、香具之笛を吹かせて頂きました。
蝉が次々と鳴き始め、響きの中に包まれた感じになりました。

六年前に、瀬戸内海に浮かぶ周防大島の沖家室にかかる渦潮の中に船を浮かべて、鎮魂の笛を吹かせて頂いたことを思い出し、
ここ修善寺だけに、何だか不思議な気持ちになりました。

お月見の十五夜に、お月様の力、働きを感じながら、今宵もまた『月桂殿』の能舞台で、笛を吹かせて頂きます。

この地上に織りなす、全ての働きは、この地球の自然のあらわれであり、その地球の中で、共に感じさせて頂いています。

池に泳ぐ鯉ははね、ミーンミーン蝉に、秋の虫の音がこだまし響きあい、
何とも荘厳な世界を感じさせてくれます。

この上ない喜びの時間を、私も一緒に過ごさせて頂いています。


また来週は、奈良県吉野山に鎮座される、吉水神社の例大祭で、笛を吹かせて頂きに参ります。

ひと足ごとに秋の深まりを感じ、刻一刻と豊かな自然を感じさせて頂いて、本当に有り難く感謝の気持ちでいっぱいです。

また、笛の演奏のまにまにではございますが、
心に感じた、お話しを申し上げたいと思います。


でわまた〜。