靄の中へ

rurinohikari2011-01-17

靄の中へ

kiwiが美しい羽を失った湿った森


ニュージーランドの夜の森を歩いた。

空を覆うほどの大木のそばでは夜空に見える星の数も少なく、深く暗い。

目に見える情報が少ない代わりに、森のすべての植物や動物の気配が

強く感じられる。

森は、気配が、その樹液が、そのエナジーが森なのだと思った。

生の気配。

ひらめきに似た気持ちを抑えつつ、樹液で青く霞んだ靄の中へ、


森の気配の中へ歩いた。

佐々木 愛



昨日は、大阪堺にある主水書房にて、1月31日まで行われている、
佐々木 愛さんの『靄の中へ』の会場にお伺いしていました。


佐々木 愛さんは、
人々が心の中に持つ『記憶』から呼び起こされたような世界を、身近な素材を使用したインスタレーションやペインティングを制作発表をしている。
その中でも砂糖によるインスタレーション作品を積極的に制作発表されている。
佐々木 愛さんのリーフレットより


主水書房は、華道家・片桐功敦さんの関係されている場所で、最近ご縁があって、何度かお伺いして笛を吹かせて頂くことがありました。


仁徳天皇御陵のすぐそばで、閑静な住宅街の中にあり。

片桐さんのお屋敷の中に主水書房はあります。

佐々木さんは、この個展のためだけに、お座敷から廊下をはさんで中庭が見える、その窓ガラス一面に、砂糖を使って森の木々の様子が描かれています。

昨日は、約三十人の方々がお集まり頂き、片桐さんのご挨拶に始まり、作品についてのお話しを佐々木さんがされて、その後笛を吹かせて頂きました。

そもそも、今年に入って直ぐに、片桐さんからご案内を頂き、無理を言って、ちょうど大阪にお伺いするので、できたら笛を吹かせて頂きたいと申し出を致しました。


片桐さんは、お話しをお聞き下さり、急遽親しい方のみにお声をかけてくださり、昨夜の会となりました。

私は、佐々木さんの作品を拝見するのは初めてでしたが、作品を通して、昨年伺うことができた、カナダの森の中の記憶が再びよみがえった気持ちになりました。

中庭では、ライティングをされて、窓ガラスの廊下にはローソクの明かりを灯し、幻想的な中で、靄に包まれた森の気配が浮かび上がってくるような感じで、作品からは何ともいえない、あの世とこの世の境みたいな気持ちを感じながら、笛を吹かせて頂くことができました。

外には風が吹き、木々の揺れる世界を感じ、時より窓を風が音を出し、色彩をも感じ、一枚の薄いガラスに描かれた、細かい線が、そっと優しく、それでいて緊張感をも感じ、心の奥に眠っている記憶を呼び起こし、不思議な世界を感じさせて頂くことができました。

本当にこの出会いを感謝したいと思いました。


佐々木 愛さんの世界が、これからも楽しみにしています。


本当にありがとうございました。



今日はこれから、長年お世話になって、今年で15年目を迎えるビジュアルアーツ専門学校大阪校で、卒業間際の生徒さんの前で、お話しと笛を吹かせて頂きます。

大阪で生まれることができた、少しでものご恩返しの気持ちで行なって来ます。
学校でのお話しは、毎回原点に戻り、初心の気持ちを感じることができます。


全てのご縁に感謝しています。



主水書房へは、

大阪府堺市陵西通2‐15
Tel0722277980

午後12時〜19時まで

南海電車 高野線に乗り、堺東駅下車です。