新たな世界へ

5月30日〜6月3日に韓国釜山で行われた
『日韓文化交流』
一般社団法人文化遺産調査研究保存継承機構『ゆらび』
の文化交流の企画が、釜山の慶星大学校で行われました。

私も関わり、そこに参加された、『ゆらび』の理事もされて、
山梨県にある『増穂登り窯』の代表をされている
太田治孝さんとのお話で広がったことです。

宿で同室になった、太田さんとの会話で、土で笛を作り
登り窯で焼いてみたらと話をして下さいました。

帰国してから、早速 増穂登り窯に伺い、
太田さんのご協力で、陶器の笛を作ることになりました。










それは6月17日から始まり、昨日で三回目の作陶に励んでいます。

皆様は、

土笛や、陶器の笛で思い浮かべるのは、オカリナや、
真ん丸の弥生の土笛や、ペルーや、ネイティブインディアンの土笛
といった、音階が出て、曲を演奏できるのをイメージされると思いますが、

私の作りたいと思った笛は、一音の響きで、穴が一つだけの笛です。








古代の笛には、石笛(天の磐笛)といわれる、自然石の笛がありますが、
どちらかといえばこの石笛に似ているかと思います。


以前ブログでもお話しましたが、
五歳の時に浜辺で、流れ着いた貝殻や、石や、
流木の穴に息を入れて、その響きを楽しんでいました。


私の演奏は、
その場で感じたことを、笛の音で伝え、響きを感じていただいています。


小さい時から、今もたまに行いますが、
一輪挿しや、穴の開いた物を見ると、音を出したくなります。


自分で作ることは、今まで考えもしなかったですが、
この笛を作っていると、小さい時の記憶がよみがえって来るような気がします。


昨日までの窯出しで、約90個が完成して、
追加を30個作りました。


笛は、真ん丸から、楕円形や、繭玉の様な、手の中にすっぽり
納まる笛を作っています。

焼く前には、約100グラムを目安にしています。






初めての窯出しの時に姿を現したのは、ひとつ一つが光り輝き、
登り窯ならではの炎の力で、一つとして同じのは無く、表情が様々でした。


自然石の石笛に出会った時のような、喜びをも感じました。


この海岸で見た、真ん丸な石のように輝いて見えました。

この出来たての笛に息を入れると、
キリッとした澄んだ響きで、

石笛とはまた違った感じがして、妙にドキドキしました。


土をこね、丸め、薪を燃やした炎の力に、大勢の人の力に、
自然の息吹が吸い込まれ、

薪には、間伐材も使用され、自然とともにある登り窯で、新たに成った陶器の笛
が誕生しました。